発達の諸段階はドン・リチャード・リソが1977年に見出したコンセプトで、健全な状態、通常の状態、不健全な状態の三段階の大分類、さらにそこに三段階の刻みがあり、全九段階が設定されている。
エニアグラムの九つの性格タイプは同列な水平的な分類であり、この発達の諸段階はそれぞれの性格タイプの持前がより良く発揮されているか弱点が顕在化してしまっているかと云う垂直的規定を与えている。
ひよこくんとフクロウくんの9つの性格講座の木村なおき氏の解説
エニアグラムの健全度とは?健全-通常-不健全を9つに分けて紹介 | 性格タイプ
●付記 特性論・類型論と発達の諸段階 科学・知恵 20240327水)
エニアグラムはタイプ論、類型論である。現在主流になっていてマーケティングや選挙(有名なケンブリッジ・アナリティカ事件でも)などで使われているビッグファイブは特性論である。
発達の諸段階は人の同一性と区別を捉える時の一つの極めて有効な方法であろう。特性論では人の同一性はその人の成長病気衰退や時々の状況等に規定されて発現する無数の特性の区別の裡に消えてしまうように思われるが
エニアグラムに於る性格タイプの場合のそれは(それは一つのタイプつまり)同一性かつ区別(発達の諸段階・さまざまな特性、多くの属性)なのであって同一性の維持が実現しているのであるから。
エニアグラムに関しての類型論特性論問題は、ビッグファイブは人を操作する手段科学としての有用性を持っており、エニアグラムは人々が成長する時の自己理解のための知恵を標榜しており、目指すところが異なっているわけで、それは初めから同列には扱えなかったのではないかと云うことであろう。
科学云々に関してはバーナム効果を挙げてエニアグラムが性格タイプを9つに分けることは占い同然の根拠のないものではないかとの感想を表明する人々が絶えないようであるが
『性格のタイプ増補改訂版』
〈第一部 第3章エニアグラムを理解するための指針〉
62頁“究極のところ、目標は、エニアグラムの図のまわりを完全に回り切って、各タイプが象徴するものを統合し、かつ「すべてのタイプ」が持つ健全な潜在能力を積極的に生かし切ることである〜したがって、どの性格タイプとして人生を始めるかということは〜重要ではない。意味を持つのは、自分のタイプをどう扱うか〜もっと完全で統合された人間に成長するために、それをいかにうまく〜出発点として用いるか”
と「完全で統合された人間」には特定の性格はないと云う意味のことさえ公言しているのであるから性格タイプで分ける時の適正性バーナム効果云々はもはや関係がなくなっているわけでそのような考えは対象そのものを見ず自己の一面的な枠組みで加工したその実体は自分の影でしかない相手と一人相撲をしていると云うことになっているのではあるまいか。
念の為に付け加えておくと、私自身はエニアグラムを主に実証的な性格タイプの区分と規定〜として重用していて、その全体特に理論面をそのままの形で納得理解できているわけではない。それでも私はエニアグラムの9つの性格タイプと云う説を通して人は皆が自分とは同じではない理解し合うことは本当に難しいと云うことは意識するようにはなりその実例がここにもあるとまた実感しているところである。